2017年5月に佐賀大学の現役医大生が立ち上げた個別塾「医大塾」(竹内翔祐代表)。2年目にして、佐賀大学医学部医学科の推薦に3名の合格者を出した。この度、2校目となる医学部進学専門館を新設し、より医学部を志望する受験生へ手厚い指導体制を整えた。今年度の佐賀大学医学部医学科の入試傾向と合わせ、医大塾が目指している目標を竹内翔祐代表(6年生)と清川裕介常務(5年生)に尋ねた。(2019年2月23日、3月4日インタビュー、計2回連載の1回目)

※2018年度佐賀大医学部一般入試の動向:定員は昨年度と同じ前期50名、後期10名。志願者は前期283名(昨年度292名)、後期204名(同280名)、倍率は5.7倍(同5.8倍)、20.4倍(同28倍)と後期は昨年より下がっている。

――開塾2年目で、目標としてきた佐賀大学医学部医学科に、3名の推薦合格者を出したと聞きました。

竹内 医大塾は2017年5月に開いたので、1年目の受験生は少なかったのですが、今年度は初めて年間を通じて指導ができました。その中で、佐賀大学医学部医学科に推薦で3名の合格者が出たことで、目標も達成できたし、うれしいですね。

清川 合格者は3名とも女性でした。共通点としてあげられるのは高校の評定点が高いことですよね。音楽で「5」を取れる子もいてすごいなと思います。

――合格者はいずれも女性だったのですね。昨年から医学部受験に関しては不適切入試が話題になっていましたが、いかがでしょうか。

竹内 現役の学生として、佐賀大医学部ではそういった感じはないですね。それに、今回、推薦で受かった3名は、前期試験でも通る実力はあったと思います。

――そうなんですね。佐賀大学医学部の受験傾向に変化はありますか?

清川 昨年の佐賀大学の二次試験の化学では1問だけ、これまでの医学科合格者でも解けない、合格した子でも解けないんじゃないかなというレベルの問題がありました。佐賀西高校の化学の授業でその問題を取り上げたようなのですが、難しすぎるため解説は飛ばしたらしいです。

竹内 今年はセンター試験の国語が例年より平均点が高かったと聞いています。他は例年通りなので、センター試験では点差がついていないと思いますので、強気での志望も多いと思います。

――なるほど、今年の前期試験の問題を見てどうでしたか?

清川 塾講師で集まり、今年の2次前期試験を振り返りました。理科は物理と化学が合わせて出題されますが、物理は理工学部と共通問題でしたので、医学部受験生としてはしっかり解きたいところですね。ただ、化学は2問とも医学部専用問題で、高い計算力と広い知識が必要でしたのでやや難しいレベルになりますが、講師陣から見ると解けないといけないレベルだと感じました。今後も化学はやや難しい傾向が続きますが、しっかり解答して欲しいところだと思いました。

竹内 数学は理工学部と共通問題が一部出題されていますが、難易度は例年通りやや難しいレベルだと思います。特に大問2の虚数に関する問題と、大問4の証明問題は現役生泣かせの範囲ですが、浪人生は予備校などでしっかりやり込んでいると思いますので、分かれ目になるところだと感じました。

清川 英語は例年通りやさしい傾向で、文法問題はセンター試験レベルでした。でも、新傾向の会話文がかみ合わない問題は一部の設問が分かりにくいと感じた講師もいましたね。

――英語は取りかかりやすいですが、化学のように難易度の高い設問もあるということですね。

清川 そういう問題に取りかかると、時間がかかりすぎます。そうなれば他の問題を解く時間が削られてしまいますので、優先順位をつけて解ける問題から取り組む必要があります。

竹内 数学に関しては、医学部専用問題が出ます。佐賀大学医学部に物理の先生はいますが、数学の先生はいませんので、誰が問題を作成しているかは分かりませんが、大手予備校の分析では外注と言われています。難易度は九大前期の数学くらいのレベル、傾向になっています。

清川 佐賀大学、九州大学だけだと問題数が少ないので、どのレベルの問題を解けばいいんだろうと考えている塾生には、横浜国立、広島、千葉大学レベルの数学の問題を解くことをおすすめしています。

――後期試験は面接が重要視されますが、そこはどのように考えていますか?

竹内 センター試験で得点が取れていることを考えると、面接しかない後期は厳しくなるんじゃないかと思います。後期は倍率が高いので、足切り(2段階選抜)にかかる時点で逆転(合格)することは厳しいと思います。それに、センター試験の平均点は例年より高いようなので、昨年よりボーダーラインは上がるのではないかと思います。

清川 私は、後期は「難しくなる力」と「簡単になる力」が作用して、最終的には普段と変わらないのではないかと思っています。医学部の後期を狙うようなセンター試験で、9割~9割2分の得点を取ってくる受験生はどちらかというと国語が苦手な子が多いと思いますが、今年のセンター国語は例年より平均点も高く、高得点を取れた受験生は多いのではないかなとも思います。

今後、2019年度の入試でセンター試験が廃止されることを考えると、医学部志望の子は前期で手堅いところを受験する考え方になるのではないかと思います。これまでのように、受験を失敗しても、来年、再来年もという流れの医学部受験生は、今まで勉強してきたセンター試験がなくなることを考えると、前期で安全策をとるのではないかと。その分、後期は有力者続出で難しくなると言われている割に、その有力者は前期で合格し、後期試験までたどりつかないのではないかと思います。

――2名で微妙に見解が分かれていますね。

竹内 地方の学校では、前期で手堅いところを受験する傾向ではないような気がしています。私と清川には受験をするにあたっての情報量の壁があるんですよね。私は佐世保での公立高校で進路指導を受けましたが、清川は大阪の私立、そして予備校(大阪、福岡)で受けてきました。進路指導としては、清川の方が正しいと思いますが、地方の視点が抜けています。

清川 竹内と話すまでは、医学部受験生に情報格差はないと思っていましたからね。

竹内 地方の進学校だと、センター試験で前年のボーダーラインを超えてから、出願してくる受験生もいます。そういう意味では清川は大阪や福岡の予備校に行っていますので、情報量が正直、違い過ぎます。そういうことを踏まえると、センターで得点できている受験生は、前期=九大、後期=佐賀大、という志望の受験生も増えるのではないかと思います。