文部科学省は2019年4月5日、「大学入学者選抜の公正確保等に向けた方策について(審議経過報告)」を公表した。学生募集段階から合格発表まで、それぞれの公正確保に向けた方策を示し、大学入学者選抜のプロセス全体を通じた公正確保を掲げている。

文部科学省は一部の医学部医学科における不正入試問題を受け、2018年8月より緊急調査を実施し、12月に「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査」最終まとめを公表している。緊急調査の結果を踏まえ、2019年1月には大学入学者選抜の公正確保等に関する有識者会議を設置。医学部医学科のみならず、すべての学部学科の入学者選抜における公正性を確保する共通ルールを示すことを任務としており、高校・大学関係者や法曹関係者、報道関係者などからヒアリングを行い、それらの知見を踏まえつつ、議論を行ったという。

公表された「大学入学者選抜の公正確保等に向けた方策について(審議経過報告)」では、大学入学者選抜の実施方法に係る現状の整理や基本的な考え方、公正確保等に向けた方策、今後の検討の進め方と課題などをまとめている。

公正確保等に向けた方策をみると、学生募集段階における公正確保では、「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)と募集要項の重要性」「大学入学者選抜の多様化に対応した入試区分の明確化と情報提供」「特に慎重な判断やより丁寧な説明を要する事例」について記載。性別は、建学の精神や設立の経緯などから女性のみを募集または男女別に募集しているなどの例を除き、一律に取扱いの差異を設けることについての合理的な説明はできないとの考えを示した。

個別学力検査における公正確保では、採点の段階でも、解答用紙の使命や受験番号の部分をマスキングして採点者の目に触れないようにする、記述式の問題について複数人で採点を行うなど、さまざまな方策を組み合わせることで公正を確保するよう求めた。

合否判定における公正確保では、「恣意的な特定の受験生の優遇や『順番飛ばし』の禁止」「属性を理由よする差別的取扱いの禁止」を明記。合格発表、繰上合格、成績開示等における公正確保にて、医学部医学科の入学者選抜における不適切事案などを踏まえ、補欠合格候補者の内での順番などをあらかじめ本人に開示することも、透明性を確保するうえで有効としている。また、学力検査や学力検査以外の点数化する要素についての配点、一定の水準に達してなかった場合の取扱いについても明らかにすることが、合否判定の根拠をより明確に説明できることになると提言している。

そのほか、大学入学者選抜に係るガバナンスの適正化として、「各大学の責任によるガバナンスの確立や適正化」「認証評価機関による点検・評価」「文部科学省による調査・指導」についてもまとめている。

有識者会議は今後、この「審議経過報告」をもとに「最終報告」に向けた検討を進める予定。その検討結果を踏まえ、大学入学者選抜に関する事務を所掌する文部科学省や、実際に入学者選抜を実施する各大学が必要な措置をとり、公正な大学入学者選抜が実施されることを期待するとした。

《黄金崎綾乃》